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2014

背景の露出不足は、むしろ歓迎

基本的に光は広がっていきます。被写体にも背景にも同じように光が当たっていると、当然、被写体も背景も同じ明るさ、同じ陰影、同じ色になります。そういう状態をローコントラストと言います。

XDSC_5637.jpg
Nikon D800/VR Micro Nikkor 105mm F2.8G

ライトスタンドにAVENGERのグリップヘッドを介してミニブームを付け、その先にシュートスルーアンブレラを載せて被写体ぎりぎりまで近づけました。ぎりぎりなので、スピードライトは花の先端を露光するのには充分な発光をしますが、背景には届かず露出不足になっています。それが狙いです。

f/22まで絞っているので、背景まで露光したらこの花のディティールと水滴に注目できないほどの情報量が写真に現れてしまいます。何でもかんでも写っていいわけではありません。余計なものはできるだけ排除し、写したいものが画面の中で最も目立つように”仕向ける”のが私たちの仕事です。

明暗のコントラストは、主役と背景を最も単純に、最も効果的に分けてくれる要素になります。RAW現像ソフトやPhotoshopによるグローバル補正が、被写体も背景も関係なしに一様にコントラストを変えてしまうのに対して、ライティングによるコントラスト調整は部分的に調整でき、そして何より一瞬で済みます。少なくとも何十分も画面に向かってレイヤーとマスクを弄るよりは早く終わります。



XDSC_5558_1.jpg
Nikon D800/Nikkor 16-35mm F4G ED VR


もちろん、背景を露光する植物の撮影でもスピードライトは便利です。1年前にも同じことをしていますが、私は仕事前に庭の草花に水を遣るついでにフラッシュ光を浴びせました。朝日が射さない日陰は手前も奥も同じ陰影と露出になります。そうなると藪の中に隠れた豹のように、海の岩場に潜むタコのように、被写体は周囲に埋もれて見えづらくなってしまいます。それではいけません。主役はもっと目立たないと!


タングステンフィルターを付けたSB-910を200mmにズームし、少し離れた場所に設置しました。スピードライトの位置は被写体と同じになるように低くしています。上から目線の高圧的な態度ではなく、同じ目線に立って光を当てると光源が小さくても印象の良い光になります。自然界では朝日や夕日がこれにあたり、こういった光が写真に立体感と好ましい陰影をもたらすことは、特に風景写真を撮る人であればよく知っていることだと思います。


人工の朝日で露出の差を作り、主役を背景から浮かび上がらせます。200mmにズームすることで、スポットライトとまではいきませんが、ある程度はスピードライトで照らせる範囲を限定することができます。
人間は明るい部分に視線が吸い寄せられるので、そのことを利用しない手はありません。被写体を適正露出にしつつ背景を露出不足にすることで、被写界深度で背景を処理し切れないようなシーンでも効果的に主たるモチーフを目立たせることができます。

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