28
2015

“絞り”という“蛇口”を開ける

CATEGORYスナップ
バルブのようなものを開けば、何かが大量に出てきそうです。逆に、閉めていけば出方が細くなりそう。どうやらお手持ちのカメラにも、そのような機構がついているようです。

※ライカファンの皆様へ。今回の写真は全て絞りを開放にし、6bitコードを有効にして撮影しています。

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LEICA M-E/SUMMICRON-M 35mm F2 ASPH.



写真を撮り始めた当初、“絞り”というものがいったい何なのかよく分かりませんでした。数字と記号の羅列に右往左往しているままでは、いっこうに露出など決められません。何とかしなくては。


私が絞りを理解するにあたって最も分かりやすかった表現が、“蛇口”です。蛇口からコップに水を注ぐことを考えてみましょう。

普通に考えれば、蛇口を少ししか開かないと水も少ししか出てきません。このとき、コップがいっぱいになるには時間がかかります。逆に、蛇口をいっぱいに開けると水がたくさん出てきて、短時間でコップがいっぱいになります。

ここまでは、良いですよね?



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LEICA M-E/SUMMICRON-M 35mm F2 ASPH.



これを写真に置き換えます。非常にシンプルです。

絞りを少ししか開かなければカメラ内に一度に入ってくる光の量は少なく、露光時間が長くかかります。
逆に、絞りを開けば一度にたくさんの光が入ってくるので、露光時間が短くなります。


分かりますか? 絞りは蛇口のバルブで、光は水です。コップはセンサーで、いっぱいになることは適正露出になることを指しています(なみなみに注いだら困るだろ、などと余計なことは考えなくて結構です。私もそう思います)。



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LEICA M-E/SUMMICRON-M 50mm F2(4th)



あまりにも遅いシャッターだと手ぶれが発生しやすくなりますし、シャッター速度が短ければ被写体を止めて写すことができます。それなら、絞りはいくらでも開いてシャッター速度をハイスピードにした方が良いのではないか、と思うかもしれません。しかし、蛇口を思い切り開くと水が飛び散って面倒なことになるように、絞りを開くと弊害が現れます。それが収差です。



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LEICA M-E/SUMMICRON-M 50mm F2(4th)


絞りを開いたときに目立つ収差の1つに、口径食があります。口径食は概ね二種類の特徴となって現れます。1つは、周辺光量が落ちる現象です。もう1つは、丸くなるはずのボケがラグビーボールのような歪な形になることです。たいてい、上の写真のように外周部分にはっきりと現れ、中心付近はその限りではない場合が多いです。


開放でも口径食が気にならないレンズを“良いレンズ”とするか、それとも開放の口径食を“面白さ”と捉えるかは、撮影者と見る人の感性に委ねられるでしょう。



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LEICA M-E/SUMMICRON-M 50mm F2(4th)




夜の写真を撮るとき、点光源に羽が生えたかのような写り方をすることがあります(この写真で言えば、上部の点光源の像が横長に見えるように写っています)。こういったコマ収差(像のずれる方向によって違う呼び方がありますが、割愛します)は、明るい場所で撮影しているとほとんど気にならないのですが、”ちょっと星でも撮ってみようかな”とか”夜景でも撮ろうかな”などと思って暗い場所にカメラを向けると見えてきます。

もちろん点光源は点として写ってほしいので、コマ収差は抑えらえている方が良いに決まっています。



X-1006850.jpg
LEICA M-E/SUMMICRON-M 35mm F2 ASPH.




口径食もコマ収差も、絞りを絞ることで抑制される収差です。逆に言えば、絞りを開放にしたときに最も顕著に現れる光学的な現象であり、その特徴を知りたいのであれば絞りを開放にした撮影をしてみることをお勧めします。こちらのレンズでは、開放でもほとんどコマ収差が発生していないように見えます。


最初にこの収差を“弊害”と書きましたが、ポジティブな捉え方だって出来るはずです。ときにはずぶ濡れの水浸しになって羽目を外したいときがあるように(ありませんか?)、収差を発生させた写真を撮りたいときだって、あっても良いはずです。

そういうときは、光の蛇口とも言える絞りを全開にして、開放撮影を行ってみるのが良いでしょう。特に大口径レンズは、その“はっちゃけっぷり”が顕著ですから、使わない手はありません。当然、シャッター速度の上限という問題もあるのですが、それはまた別のお話ということで。


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